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八洲学園大学ブログ

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八洲学園大学開学までの歩み ~理事長 和田 公人の開学日記 Vol.2

中退者や不登校者が多数を占める通信制高校の保護者懇談会で、家庭における親と子、また周囲との関係といった問題意識に目覚めた和田。学校側として何ができるのか模索する日々が続いていました。
保護者懇談会からしばらくして、内閣総理大臣が設置した『教育改革国民会議』に関わることとなった。最終答申では「教育の原点か家庭であることを自覚する」とうたわれたが、そこに至る議論のプロセスで和田は気付いたのです。
「家庭教育を専門に研究している人がいない」ことに……

八洲学園 理事長 和田 公人

 
平成12年3月 教育改革国民会議

平成12年3月。教育改革国民会議という内閣総理大臣の私的諮問会議がスタートした。「21世紀の日本を担う創造性の高い人材の育成を目指し、教育の基本に遡って幅広く今後の教育のあり方について検討するため」に内閣総理大臣が主催する会議である。この会議の期間中に亡くなった小渕総理が設置し、森総理に引き継がれた。

私はたまたまこの会議の委員の一人の出身団体で教育担当の副委員長をしていたことから、ほぼ毎回会議に同行し、関心を持って会議の行方を見守ってきた。少年が引き起こす事件が急増していたこともあり、議題も子どもに対する教育のあり方が中心となり、委員の間でも家庭の重要性への認識が高まっていった。
そして、最終答申に「教育の原点は家庭であることを自覚する」ことが大きくうたわれることになった。

しかし、この会議で行われた議論を見ていると、教育問題は誰もが実体験を元に持論を展開できること、たとえば野球ファンの誰しもが野球評論家のごとく議論ができるように、教育問題になると国民全員が評論家になれてしまうことが分かってきた。議論の内容をよく聞いていくと、主張の根拠は自らの体験であったり、周囲の人からの見聞であったり、自分で見た経験ばかりなのである。大学教授も何名か委員として参加していたが、それぞれの専門は教育行政だったり、宗教学だったりで、誰一人家庭教育について専門に研究している委員はいなかった。それぞれ違った立場から持論を述べるからなかなか議論がかみ合わない。

答申の期日が迫ってくることもあり、十分な議論が尽くされたかは疑問が残る会議であった。
教育改革国民会議と私の関係は、委員を輩出している団体の意見を集約して委員を通じて会議に発信することである。経済団体であるから経済的な側面からの意見も重要だが、団体の会員の多くが子どもを持つ親であることため、親の立場の意見も集約することになる。6万名あまりの会員全員の意見を集約している時間はない。なにしろ会議はほぼ2週間に1度のペースで行われる。

そこで電子メールを使える会員だけを対象にメールでアンケートを実施した。そのデータを背景に会議で発言するわけである。委員が個人的な経験だけで発言するのではなく、なるべくデータに裏づけされた意見を発言できるようにしたわけである。
しかし、このアンケートの集計が大変だった。択一式の設問にしたとしても、自由記述欄も必要である。その自由記述欄には本当にさまざまな意見が熱っぽく書かれているのである。教育問題は多くの会員が身近な問題として意識していることを意味しているのだが、その意見を集約するというのは事実上不可能だった。全国組織の団体であるので会員も全国に散らばっている。その地方ごとに教育事情も異なっている。加えて、家庭ごとの事情がある。学校が悪い、だから学校制度を変えるべき、という意見があったとしても、その原因を特定するのは不可能だった。

だが、何か変えなければいけない、ということは間違いない。今のままの学校では良くないということも言えそうだった。
学校を変えるためにもっと積極的に学校に関わらなければいけないが、学校に頼りすぎるのも止めなければいけない、ということが徐々に見えてきた。学校に積極的に関われるよう、親が仕事を休まずに授業参観ができるように、教育の日を制定して学校以外は休みにしてはどうか、という提案を考えた。しかし、経済団体としては、これ以上休日を増やすことは避けたいところである。

では逆に、子どもに職場体験をしてもらうというのはどうだろうか。さっそくメールでアンケートを実施。約半数は受け入れ可能との結果だった。これをもとに会議で、子どもに職場体験などの実体験の機会を増やせないかと提案をしてみたりした。これが最終答申で「奉仕活動を全員が行うようにする」という表現になった。一時、マスコミなどで「ボランティアを強制するのはおかしい」という反発が出たが、ボランティアと奉仕活動の違いを誤解したのが原因である。
学校経営にマネジメントの発想を取り入れるようにとか、誰でもが学校を設立できる制度であるパブリックスクールの導入なども主張した。答申に反映された意見もあり、反映されなかった意見もあったが、日本の教育にとって一定の成果をもたらした会議ではあったのではないだろうか。

答申を出した後、それを具体的な政策に落とし込むのは官僚の仕事であるが、せっかく関わった教育改革国民会議である。会としても継続的に何かのアクションを起こしたかった。そこでメンバーが各地で地域の先生として活躍できるように、マニュアルを作成し配布したり、PTAに地域(Community)を加えたPTCA運動などを提唱した。

これらの運動は今も継続されている。会としての運動に加えて、教育関係に身をおく私個人として、この教育改革国民会議の答申を実現するのに何ができるのかを考えさせられることになった。

 

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