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財団法人社会通信教育協会より出版予定の著作について

【11.11.25】

学生支援センター 学長は現在、財団法人社会通信教育協会より出版予定の本をご執筆中だと伺いました。本日は、その本のことについて、お話いただけますでしょうか。

学長 財団法人社会通信教育協会という、文部科学省認定の社会通信教育の団体が参加している組織があります。その協会の会長さんからお話をいただき、執筆を進めています。会長さんは、本学のウェブサイトで、私が生涯にわたる人間の変容について研究しているということを知り、興味を持ってくださったようです。私は、明治、大正、昭和にかけて活躍したいろいろな人たち―本当にいろいろな人がいるのですが―、そういう人たちの自伝や伝記を集めてその分析をしてきました。会長さんは、東日本大震災の影響で大変な思いをしている現在の状況と重ね合わせたとき、先人たちのものの考え方を翻って調べてみることが非常に参考になるのではないかと考えられ、そういう本を書いてみないかという話を持ち込んでくださったわけです。

 実は、昭和50年代にそうした研究をしていたのですが、その後は、わが国の大きな課題となってきた生涯学習支援システムネットワーク構築についての研究をずっとしてきました。今はそれも一段落したところでしたので、「やってみましょう」ということになりました。

 話をさらに詰めていく中で、会長さんの狙いは、各方面で活躍されている生涯学習インストラクターや生涯学習コーディネーターの方々にそのような話を届けたい、というところにあるのだとわかりました。それはとても意義のあることだと思います。会長さんからは、社会通信教育協会からではなく、一般の出版社から出版するのはどうかとのお話もありましたが、一般の出版社からとなると、今述べたような狙いがぼやけてしまいます。そこで、社会通信教育協会から出版することにしたのです。

 生涯学習インストラクターや生涯学習コーディネーターの方々以外に、社会通信教育協会に参加している団体で勉強している方たちは、20~30万人ぐらいいます。その方たちの中にもこのような話を必要としている方がいるかも知れませんので、その方たちにも役立つものにしたいと思っています。

学生支援センター 生涯学習に携わる方々にとって、ヒントとなるようなお話が詰まった本になりそうですね。内容について、もう少し具体的にお伺いできますでしょうか。

学長  日本は、明治維新によって近代国家を目指し、大変革を行いました。そのときのトップリーダーたちについては誰でも知っていると思います。でも、その後の日本の社会を実際に作っていった人たちとなると、その領域では知られていても、知らない人物の方が多いのではないでしょうか。そういう人たちが、実は結構、自伝や伝記を残しているんですね。そういったものを調べて、その人たちの考え方や難局に出会ったときの対処の仕方などを抜き出しています。

 今のところ、実業人(今で言う経済界、産業界の人)や政官界人について、堅い言葉で言えば「精神構造」をモデル的に分かりやすいかたちで出してみたいと思っています。その後、芸能人なども大変面白いので紹介したいのですが、今回の本には間に合わないかもしれません。

学生支援センター 芸能人についてのお話となると、より多くの方がご興味を持たれそうですね。私もぜひ聞いてみたいところですが、今回は実業人についてまとめられているということですので、その一例をお話しいただきたいと思います。

学長  例えば、松下幸之助と言えば、皆さんもご存知でしょうか。先月(2011年10月)、NHKで「神様の女房」というドラマを放送していました。あのドラマで描かれていたのが、松下幸之助(とその奥さん)です。

 松下幸之助は、日本人には珍しく、利益を自社で独り占めにせず、一部を必ず社会に還元するというやり方をしています。「神からの恩寵は神に返す」というキリスト教の考え方を根底に持つ欧米では当然のことですが、日本にはそういう考え方はありません。ですが、松下幸之助だけはその考え方を持っていたのです。その背景には、次のような出来事があったといいます。

 松下幸之助は、小学校を出た後、丁稚小僧として働き始めました。自転車屋さんの小僧になったとき、お客さんからタバコを買って来いと頼まれるようになったそうです。ここからが松下幸之助の「なるほど」というところなのですが、頼まれるたびに買いにいくのでは大変なので、貯めたお小遣いで1カートンずつ買いだめするようにしました。1カートン買うと、タバコが1箱おまけでついてくるのです。そうした方法で、少しずつお小遣いを増やしていきました。ところがある日、お店の主人に呼ばれ、それを止めるように言われました。褒められるとばかり思っていた松下幸之助は非常に衝撃を受けました。主人の話では、年上の小僧さんたちが松下幸之助の儲けを見てひがんでいるというのです。そういういざこざがあるとお店としてやりにくくなるので止めなさい、というわけです。そこで松下幸之助は、世の中とは難しいものだ、良いことをしても独り占めしてはいけないのだと思い、稼ぎを兄弟子たちに全部ばらまいたそうです。

 そうした経験を肝に銘じて、会社が大きくなってからも、儲けの一部を寄付したり、社会貢献をしたりして、利益を独り占めすることはしないようにしてきたというのです。

 社会貢献とか社会奉仕の精神といっても、欧米と日本ではその出所が違うんですね。そんなところも、面白い発見だと思います。

 ついつい話が長くなりましたが、もっと面白い話はいくらでもあります。本の完成を、ぜひ楽しみにお待ちください。

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