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渡邉達生の研究室便り

意欲と欲と

2009/10/26

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 先日、帰省したとき、タクシーの車窓から、なつかしいものを見つけました。タクシーを止めてもらって、しばし、見とれました。

 子どものころは、稲の収穫後の田んぼにはこのような光景がありました。稲わらを牛馬の飼料や堆肥として活用するために、稲わらを保存していたのです。しかし、今では、牛馬にはトラクターが、堆肥には化学肥料が取って代わり、このような光景はあまり見られなくなっています。この稲わらは、たたみ、しめなわ、むしろ、民芸品、などの材料になるのでしょう。かろうじて、文化が続いています。

 現代の子どもがこのような稲わらの林立しているのを見ると、何とするでしょう。
公園でサッカーボールがあれば遊ぶでしょう、家でテレビゲームがあれば遊ぶでしょう。しかし、田んぼの中に、このような稲わらがあるだけでは、きっと何の関心も示さないでしょう。そのことを言うと、タクシーの運転手さんと話が進みました。

 かつての子どもたちは、このような稲わらを使って遊ぶことを考えました。狭い空間に多くの障害物があり、足元の土はやわくて機敏な動作ができません。これこそ、「おにごっこ」「かくれんぼ」「かんけり」の舞台として、最適なのでした。やわらかい土の上での、急発進、急停止、急旋回。それによって、先だってふれた、和式トイレでふんばることができる足腰もできあがります。

 また、稲わらを倒さないように気をつけるのですが、遊びに夢中になっていると、つい倒してしまうこともあります。直そうとしても、うまくいかずに、後で叱られることもありました。しかし、叱られて、だから止める、のではなく、今度は、気をつけようと思うのでした。そして、稲わらを倒したらオニを続ける、というルールをつくったりもしていました。遊びに、「意欲」が出ています。

 現代は、物が豊かになり、子どもの遊び道具も様々に開発され、遊ぶ環境も整備されています。子どもたちはサッカーやテレビゲームなどで、夢中になって遊んでいます。しかし、子どもの発する言葉を聞いていると、勝ち負けにこだわったり、相手を非難したりする、感情的な言葉が多いのです。そこでは、遊びは自分の「欲」で覆われています。

「意欲」と「欲」。似ているようで違うようです。欲は本能にそって自己の欲するところを求めることです。また、意は心ですから、意欲とは心を働かせて自己の欲するところ求めることでしょう。で、遊び道具がお膳立てされると、意欲の出る番はなくなり、遊びは欲に左右されるということになるのでしょう。

 学校教育で総合的学習の時間が始まったのも、いわば、この「意欲」の価値を子どもたちに感じ取らせるためでした。ある時、ダンボールを前にして、考え込む子どもたちがいました。そして、運動場にころがっていたボールを展示する台を作りたい、ゴミ箱を作りたい、的当てゲームを作りたい、鉛筆立てを作りたい、筆箱を作りたい、本立てを作りたい...これらの意欲が、楽しい作品を生み出しました。

 かつては、子どもたちが日常的な遊びの中で感じていた意欲も、学校や家庭で、それを感じる機会を作り出すことが必要になっています。

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