「教育と投資」
吉原 和仁
私は外資系の運用会社で経営者として又ファンドマネージャーとして資産運用業務に従事しています。 大学時代に証券論のゼミを専攻してから約四半世紀に亘り証券投資に関わったことになります。 投資対象企業の財務諸表の調査分析、経営戦略の是非や当該業界の競争状況などを総合的に判断し投資を決断します。 株主となった以降は、当該企業の経営者が株主価値の増大に努めているか、取締役会を統治します。 投資した企業に毅然とした態度で臨むのも、お客様から委託された大切な資金を保全し殖やすためです。 お客様は、国内外の年金基金や銀行、保険会社、政府系金融機関など多岐にわたります。
さて、その中で印象に残っているお客様が、ある在日外国人子女の学校法人です。 1990年代半ば、日本ではバブルが破裂し株式市場が暴落、証券投資の効用は理解されていない時代に、教育者の方から投資の助言を欲しいと電話があったのには驚きました。 校長先生を初め、学校の経理担当者、外部の金融専門家が資産運用委員会を形成し、長期の運用目的やリスクを想定し資産配分を議論していました。 最先端の投資理論を駆使し、子供たちに最善の教育を受けさせるための資金作りをする熱意に感銘を受けました。 現在日本でも大学基金が設置されだしていますが、その目的が奨学金目的や創立記念事業といった間接的なものに留まり、大学運営に直接寄与するまでには到っていません。 一方、アメリカの大学では寄付金の運用で資金を増やし、未来永劫にわたり、学生に最善の教育が出来るように大学運営を支える工夫がされています。 例えば、アメリカ東海岸のボストンにあるハーバード大学の寄付基金の昨年末の残高は、前年比13・5%上昇し約3兆5千億円となっています。 この巨額な基金から拠出される金額は大学の総収入の大きな部分を占め、豊かな教育環境を学生にも先生方にも提供できるような仕組みになっています。 残念ながら日本では、一般的に寄付そのものへの理解度が低く、運用の議論の前に寄付金を募る活動をしていかなければなりません。 しかし、教育の重要性を否定する人は居ないはずです。 幸いにも、日本経済が回復し日本企業の手元資金が潤沢になり、個人でも超富裕層が出現し出しています。 寄付金募集の環境は明らかに好転していると言えます。 八州学園の理事として、募金を含めた教育基金の重要性を啓蒙活動することで、学園の発展のためにお役に立てればと思います。
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