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中田雅敏の研究室便り

ふるさとは近きにありて、そしてまた。

2015/04/19

文化庁では一昨年に、地方に伝わる伝統文化、伝統工芸、伝統民芸などの奨励を推称した臨時教育審議会で答申された五本の柱のひとつ「伝統文化の継承振興」を受け、安倍内閣での「教育基本法改正」による「前文」にもあらためて記され、法的根拠になっている。

 しかし現実には「超少子高齢化への対応」の指摘と同じように遅々として改善の方向には向かっていないように、伝統文化の継承の必要性は誰もが理解はしているが、現実は一挙に進んだという実感はない。見事な職人技の伝統工芸の世界、染色や織物の文化、金工細工、木工芸術などの世界で後継者が育っていない。長くて気の遠くなるような織物や、刺繍着物、などの世界には若い人達がなかなか入門しない。能の衣装、歌舞伎の衣装、花嫁衣裳、など手の込んだ、細密な刺繍などは、現代の若い方達のなんでも「即」という考えには入らない世界であることは確かである。

 また地方オンデマンド祭礼や、村芝居、地芝居、地狂言などはすたれる一方である。当然過疎化と人口減少、高齢化で演じることができる人がいなくなっていること、若者が都市に集中してゆく現象などが重なっていることはいうまでもない。文化庁では東京オリンピックの開催までに、こうした地方伝統文化を掘り起こし集客力を高め、観光化して外国から来る人々を一日でも永く日本に滞在してもらいたい意図もあるようである。そのための奨励金も補助金も用意しているようである。

私は埼玉県蓮田市に住んでいる。宇都宮線の大宮駅から下って三つ目の街である。しかし都心から三十五分、三十五キロ圏内にありながら毎日五から六十人が減少している。あまり誇れることではない。そこで私の母親の生家、ここで私も生まれた、が埼玉県指定史跡、文部省指定史跡で縄文式土器が出土しており、今から五千年前の縄文時代の標準遺跡となっていた。ここから出土した土器は黒浜式土器として、これも年代標準識別土器として社会科の教科書にも掲載されている。実に美しい、それはすばらしい土器である。弥生式土器に移行する前の土器であるので、年代識別の基準にもなっているのである。

 そこでこの遺跡を国指定遺跡に格上げしてもらうために文化庁と交渉を重ね、市と県の教育委員会文化財課で試掘をしてもらったところ、大変貴重な遺跡で青森県の三内丸山遺跡に匹敵するほど重要遺跡であると認められ、国指定遺跡となった。このため市でもその遺構のある場所全部、山林から田畑も、勿論、わが母の生家すべて、私の誕生の地すべてが指定された。それ故にわが誕生の家はことごとく滅却され、私は「ふるさと」を失ってしまった。しかしどうしたわけか一向に史跡としての体を成していない。発掘も行われていない。文化庁に何度も足を運び、街をあげて陳情しやっと認めてもらったのだから早急に発掘を行ない、全国にその成果を知らせ、多くの方に知ってもらい、過疎の町返上に供してもらいたいものである。

「ふるさとは遠きにありて思うもの、そして悲しくうたうもの、遠き都にうらぶれて異土の乞丐とならむとも、帰るところにあるまじや」と詠ったのは室生犀星であり、「さんまは甘いかしょっぱいか、遠き都の夕暮れに」と詠ったのは佐藤春夫であるが、私は「ふるさとは近きにあるも、帰れざる、わが生まれたる山河なし」という心境である。ぜひこのブログを読んで下さった皆様、本学の学生さん、一度蓮田市をご訪問くださってこの史跡をご覧になってください。子どもの頃から田畑から出てくる土器のかけらや、石棒、石斧を集めて油をつけ磨いて、箱に入れて大切にしていたなつかしい思い出を、ぜひお越しいただいてご覧になっていただきたい。

 下村文部科学大臣は、昨年度この「伝統文化の継承」を積極的に推進してくださって、小・中・高の国語に時間にある「短歌」と「俳句」の単元がむずかしくて教えられない、ということで飛ばしてしまわれがちであったことに、いたく憂慮なされ、日本の言語文化の「底荷」としての「短歌・俳句」の単元を飛ばすことなく教え、先生方も、生徒に実際に創作を経験させ、短歌集や俳句集をクラスで作るように指導し、先生方も一緒に創作をすること、として通知通達を出して推称してくださった。

 五七五七七、五七五、は日本の文学の基調を成す調べであり、ここから平安時代は始まり、国風文化が育ったのであった。万葉集は、推古天皇、古今集は宇多天皇、俳諧連歌は後鳥羽上皇であり、この韻文の文化が日本の伝統文化であり、すべての日本の文化の基調を成すものなのです。それ故に文化大臣は特に通知通達を出したのでした。そのようなことで春学期から新科目として「俳句と俳文」という科目を設けてもらいました。たくさんの方が受講してくださることを願っております。

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