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中田雅敏の研究室便り

ホトトギスと郭公

2015/06/04

 山口素堂は「目には青葉山ほととぎす初鰹」という句を詠んでいる。相模湾を昇り北上を続ける鰹を捕り、桶に入れて箱根山を越え、午前中に江戸の庶民に届ける。その道筋と景色を詠み込んだのである。「初物を食べると七十五日長生きできる」といわれ、初物好きの江戸っ子は「女房を質に入れても」と競って買った。一方「勝男武士」と重なることから多くの武士にも珍重された。

 「ほととぎす」は古来より大瑠璃、駒鳥とともに三銘鳥として愛賞された。漢字では「不如帰、杜鵑、蜀魄、子規」などと記される。中国の蜀の望帝杜宇が帝位を追われ、「ほととぎす」に身を化し「不如帰」と鳴きながら飛び去ったという伝説に由来する。「ほととぎす」を「郭公」と誤認しているのは姿が郭公によく似ているからである。鳴き声が違うが混同されているものである。

 ホトトギスが姿を見せるのは、五月下旬から六月上旬が多く、この季節は「山芋」の収穫期でもある。山芋は健康長寿の芋でこれを食し、木天蓼(マタタビ)を食すと疲れもとれ「股旅」ができるといわれている。さまざまな俗信がある。

○ ホトトギスの鳴く頃に田を植え、カナカナ蝉の鳴く頃に成育し、ミンミン蝉の鳴くと実稔り目白が来ると収穫をする。(山形県)
○ ホトトギスが鳴くと山芋が芽を出す(新潟)
○ ホトトギスの鳴く音で山芋を掘る(鳥取)
○ ホトトギスの初音を芋畑で聞くと福が来る(宮城県、広島県)
○ 五月五日に山芋と竹の子を食べないとタンタケジョ(ホトトギスのこと)になる(熊本県)

 このように明るい夏の鳥として好まれるホトトギスであるが、一方では「冥途の鳥」「魂迎えの鳥」などとも呼ばれ、あの世とこの世を行き来する鳥、死者の便りをもたらす鳥ともみなされている。江戸時代に日本各地を遊歴した菅江真澄は「はかない子供の物語」が多いとして、話を書き残している。

 ある日五、六歳の子供がホトトギスの鳴き声を聞いて「父へ母へ」と鳴いていると言ったので皆で笑ったが、間もなくその子は麻疹を患って亡くなった。その子はホトトギスの声であの世から「早く来い、早く来い」と父母を呼ぶ、ホトトギスは口から血の涙を流して呼ぶので、その子の父母は悲しみに耳をふさいだということがある。

 こうした民話からホトトギスは死者の魂、あの世からの死者の声を伝える鳥とされてきた。ホトトギスを便所で聞くと不吉で便座からあの世に呼び込まれるという言い伝えもある。

 弟が自分は芋の蔓ばかり食べながら、盲目の兄に芋のうまいところを食べされるのだが兄は弟が自分の盲目をよいことに、いいものうまいものばかり食べているのではないかと疑う。兄の疑いを知った弟が自分の腹を裂いて見せ、兄がその腹を調べると芋の蔓ばかり出てくる。兄は弟を死なせたことを後悔するうちにホトトギスの姿になり「弟恋し」「おとうと来たか」と鳴き続けているのだそうだ。

 この民話は青森から鹿児島まで広く伝承されている。「時鳥の兄弟」という小鳥前生譚である。

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