
つくつく法師はなぜ悲しい声
2015/08/31
小泉八雲は本名、ラクカディオ・ハーンである。日本をこよなく愛し、松江城の近くに住んだ。早稲田大学で教鞭を執ったこともあった。日本の女性を妻として小泉姓を名乗った、八雲は無論、「八雲立つその八重垣」で知られた出雲大社のおはします島根県松江に住んだからであった。
八雲は妖怪について強い関心を持っていた。壇ノ浦にある赤間神社は安徳天皇を祀っている。勿論一緒に亡滅した平家の人々も一緒である。ただ一人、安徳天皇の母君の平徳子のみ義経に助けられ、出家して京都の大原に寂光院という御堂を建て、平氏一門の菩提を弔う生涯を送った。
しかるに浮かばれぬ平氏の亡霊達は夜な夜な赤間神社の近くの寺に住む琵琶法師の奏でる平家物語に涙した。とうとう安徳天皇のおはします墓前で平家滅亡の有様を説く、琵琶法師の音を聞かせるべく、この法師を夜な夜な墓前に連れ出して語らせたのであった。
こんな俳句がある。
暮るるなと鳴き暮れてゆく法師蝉
山川幸子さんという方が詠まれた句であるが、暮れ急ぐ法師蝉の声が、諸行無常の世に「暮るるな暮るるな」と鳴いているように聴こえたという句である。作者は先年に次姉,長姉と次々に亡くされ、今年新盆を迎え終えられたとのことである。
ツクツクボーシ、ツクツクボーシと鳴き、最後にジィーと鳴きおさめる。なんとも哀れで悲しい鳴き声である。薄暮、その向こうから先立たれたおふたりの姉様の姿が見えてくるようである。一人残されて行き暮れた作者の後姿が見えてくるようである。
筑紫の国から松江城に嫁した姫が、毎日毎日泣き暮れて、とうとう身まかってしまわれた。そのとき姫が「法師蝉となって筑紫恋し、筑紫恋しと鳴いているのだ」と小泉八雲は言っている。この蝉が鳴くとやがて秋となる。
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