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中田雅敏の研究室便り

蜩はなぜにせつない声なのか

2015/09/08

 蜩は朝夕に鳴く蝉である。か細い声で「かなかなかな」と鳴いている。この声を聞いた人が「せつないですね」といっていた。すべての生き物には「生きる哀しみがうっすらと纏わり付くもの」なのであろう。

 「刹那い」である。一昼夜の六百四十八万分の一。である。一秒の七十四分の一。である。極めて短い時間のことである。蝉は人間世界に生まれ出て一週間で命が終わってしまう。地中にじっとしている事七年間、蝉となって一週間、七日の命なのである。まことに「せつない」限りである。

 悲しみなどで胸がしめつけられるような思いである。ねんごろに思うことである。どうにもしかたがない思いである。こんな思いを昔の人は「せつない」といった。現代の忙しく、慌しい世の中を生きている人は、こんな思いになることもあまりないであろう。

 こんな俳句がある。「蜩や男湯にゐて女の子」たぶん銭湯での句であろう。そういえば銭湯もめっきり減ってしまった。全国どこでも煙突があれば銭湯と決まっていた。

 湯あがりに飲むのが牛乳であり、その中でも特に「コーヒー牛乳」であった。「銭湯にはコーヒー牛乳がよく似合う」と太宰治は言っただろうか。「富士には月見草がよく似合う」とは言ったけれども。

 母親と女湯に入っている男の子は多くいる。ここでは蜩の鳴く夕暮、外はまだ明るく、客もまばら、五、六歳の女の子であろう。つれて入っているのは父親であろう。男親はいつまでこの娘と一緒に風呂に入れるか、などと痛切に思うこともあるという。こういう家には家庭内不和や事件などはないはずである。

 なにげない風景のようにも思えるが、どこかに一抹の「せつなさ」がある。それは「蜩」という蝉が持つ悲しみの声があるからであろう。「せつなや、悲しや、やるせなや」という歌の歌詞もあった。こうした日本語のもつ美しい情趣はこれからも残って欲しいものだ。

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