大学もブランディングが重要といわれるようになってきた。ブランドとは、商品、サービスや企業に対して形成されている一定のイメージのことで、消費者はそのブランドを信頼し、商品やサービスを購入する。例えば、トヨタの車なら品質は問題ないだろうという信頼が形成されているので、購入する車の品質を確認することなく購入を決定する。これが、ブランドが確立されていない無名の自動車メーカーの場合、品質に関して、細かくチェックして安心できない限り購入に踏み切ることはしない。トヨタと無名メーカーで品質と価格に差がない場合、消費者は自動車の品質を正確に比較することが難しいため、安心感のあるトヨタを選択する。多少、トヨタの方が高額だとしても、トヨタを選択する可能性が高い。つまり、ブランドが確立されていれば、同じ品質の他社より売れるか、高く売ることができる。だから、企業はブランドを確立しようとする。
しかし、もし消費者が正確に品質をチェックできれば、わざわざ高額の方を選択することはない。つまり、ブランドとは、消費者の商品選択に必要な知識や時間を節約しているとも言える。消費者が商品選択の知識に自信がなかったり、じっくり商品を選ぶ時間がない場合、多少高くても、安心感のあるデパートに並んでいる商品を無造作に購入することになる。しかし、低成長時代には、消費者は自らの商品選択眼を駆使して、より良い物をより安く購入しようとする。しかも、商品選択に必要な情報はネットでいくらも手に入る。つまり、ブランドの時代は終焉を迎える可能性がある。
学校でも同じだろう。これまで、いわゆる有名校というだけで、学校の内容を調べもせずに志望校としていた人が、パンフレットを取り寄せ、学校説明会に参加し、体験授業を受けて志望校を選択するようになる。そして、無名でも良い教育を実践している学校が選択されるようになる。伝統や知名度はあまり価値を持たなくなり、日々の教育成果が大きな尺度となり、学校の勢力図が刻々と変動する時代が来るかも知れない。ブランドの確立に必死なっているということは、品質以上の価格で売ろうとしているわけで、消費者を欺こうとしているとも言える。多大な費用をかけてブランドを確立しても、すでに消費者が賢明な選択をするようになっていれば、効果はない。ブランディングに費用をかける前に、教育内容を改善するのが先決ではないだろうか。もちろん、在校生、卒業生や教職員サービスとして学校をブランド化することは無意味ではないのだが。 |