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小関慶太の研究室便り

八王子医療刑務所参観(2)

2017/04/08

こんにちは、

 

 この週末は、お花見を予定されていた方もいらっしゃるかと思います。

横浜は、あいにくの雨模様です。

 

 さて今回は、八王子医療刑務所参観に参加した学生の感想文をご紹介します。

*提出していただいたものの、謝辞部分を削除しています。

 

刑事施設参観に参加して(男性)

 

 今回、刑事施設参観の機会が設けていただき、ありがとうございました。八王子医療刑務所は、平沢貞通、重信房子などが収容されたことで記憶にもあり、すでに移転が決まっているため最初で最後の参観機会ということで、感慨深い思いでした。

 参観中は、もし自分が「刑務官(あるいは医師や職員)だとしたら」「受刑者だとしたら」という2つの視点で拝見していました。

 刑務官の視点からは、受刑者の人権や人格を尊重しつつ、更生や改心の可能性を信じて、職務にあたるのが刑務官なのだと思いつつも、心身に疾病や障害をもつ受刑者を、厳密に管理し、指導していくのは、大変な労力であり、時には徒労に感じることも少なくないだろうと感じました。

 受刑者の視点からは、たとえば自分が釈放される可能性がないとした場合、どこまでモチベーションを保てるだろうか、おそらく生きる意欲も見失ってしまうのではないか、と考えました。

 日常の生活の中でも、様々な問題やトラブルが起こりますが、社会の中で普通に生きていることが、いかに幸いであるかを認識する機会ともなりました。今回、垣間見ることができた施設の内情も心に刻み、今後、犯罪抑止のために何らかの貢献ができたらと願っています。

 

 

八王子医療刑務所を参観して(女性)

 

 今回私は初めて刑務所を参観しました。とても静かな住宅街の中にあり、少し意外でした。以前、大学の授業で刑務所の写真を見せてもらい、内情の話を少し聞いてはいましたが、あまり人のいない場所にあるのかと思っていました。そして、私が想像していたよりも多くの診療科目や手術内容があり、実際に治療している施設や受刑者の方が生活している施設を見ることができ、漠然とした医療刑務所のイメージを確かなものに変えることができました。ただ話を聞いているのと、実際に自分で出向き、見て学ぶことの違いを感じました。

 また、高齢者を中心として再犯の問題が取り上げられる事がありますが、八王子医療刑務所でも、以前収容されていた人が再び罪を犯してしまうケースもあると聞き、刑を終えて更生した人を再び犯罪に走らせないための対策が重要な問題なのだなと思いました。刑務所を出た後の生活を支える制度を作り、その制度を活かせるよう受刑者の方に伝えていくことも大切ですが、私達のような普段刑務所とは関わりのない人達も関心を向けて受け皿になることが大切だと思いました。

 改めて刑務所や法律のある意味や、自分が社会で生きていくなかでどう関わっていくべきなのかを考える機会になりました。

 

 

八王子医療刑務所を訪ねて(男性)

 

 この度、八王子医療刑務所を訪ねる機会をいただいた。八王子駅より、みんなに付いて10分程度歩くと、突然、高い塀が現れ、ひと目でそれが目的地だと分かった。学校や会社であれば、駅に近くて便利であるが、受刑者にとっては、この高い壁から外には出られないので、駅に近いかどうかはまったく関係が無い。来年度、昭島市に建設中の新施設への移転が決まっているので、年季が入ったこの建物は、残りわずかでお役御免となる。

 最初に、施設の説明をしていただいた。受刑者の平均年齢は52.3才。私の年齢は52才と4ヶ月であり、ちょうど52.3才である。施設の中で生活する者と、施設の外で生活する者を分けるものは何なのか。病気を持つことによる苦悩か、それともちょっとした気の緩みか。自分が受刑者となる可能性を考え、少し複雑な心境となった。

 説明の次は、施設内を見学した。管理棟を真ん中にして、北と南に受刑者の収容棟が配置されている。管理棟には准看護師養成所があり、この日はちょうど発表会が行われていた。会場には、紺色の制服を着た数十名の男性が集まっており、イメージとは異なるが、この人たちが看護師の卵ということになる(刑務官でもある)。

 次に、大きな声できびきびとした動きの刑務官に迎えられ、受刑者の収容棟に入った。医療刑務所は、病院機能と刑務所機能の両方を併せ持つ。診察室には真新しい医療設備が装備されており、刑務所というよりはまるで病院のようである。途中、緑色の作業着を着た受刑者を見かけるが、健康そうで病気療養中には見えない。おそらく、深刻な病気の受刑者は、別の静かな部屋に隔離されているのであろう。食事は1日3食500円である。私は日頃、ワンコインで抑えられるランチを探しているが、ここでは1日がワンコインで済む。しかも、きちんと栄養管理が行われており、その点に関しては、受刑者を羨ましく感じた(食事の内容は詳しく聞いていない)。

 見学後、質疑応答の時間をいただいた。事前に2~3の質問を考えておくように言われており、「出所後の外部医療機関との連携は、うまくいっているか?」と「精神病患者に関する苦労話を教えて欲しい。」などを用意していた。刑務所である以上、刑期を終えれば出所しなければならないが、病気を抱えていれば継続して治療を行う必要がある。外部医療機関との連携は、医療刑務所の大きな課題であり、私が質問するまでもなく、連携を図ることの重要性について説明があった。もう1つの精神病患者に関する苦労話については、排泄物に関する壮絶な内容を回答していただいた。壮絶ではあるが、それをなごやかに説明していただき、私はむしろ、刑務所に対する安心感と刑務官に対する感謝の気持ちを持つことができた。

 八王子医療刑務所は、来年度をもって120年の歴史に幕を閉じる。せめて、その歴史を見続けた桜の木が、移転後も残せたら良いと思ったがどうなるだろうか。見納めとなる八王子医療刑務所の表札を写真に収め、施設を後にした。

 

 

次回もご紹介いたします。

 

第2回 刑事施設参観の日程と行先が決定しました。

6月に「大学からのお知らせ」で募集要項を配信しますので

もうしばらくお待ちください。

 

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