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渡邉達生の研究室便り

心を正す

2009/05/25

 道徳は、生き方に価値を求めることで成立します。「こう生きることがよい生き方になる」と。ところが、評価となると...これは手ごわいです。...。生き方に価値を求めるということは、人生の道を歩く、その過程に価値を求めているのですから。
 昨年、琵琶湖のほとり、滋賀県高島町に、中江藤樹の足跡を訪ねました。中江藤樹は江戸時代初期の儒学者です。少年時代の「雪の日の朝に母を見舞う」話が知られています。
 その中江藤樹が近所の人に講義をしていた書院の庭に「由緒(いわれ)のある石」という石が残っていました。一抱えほどの、全体的には直方体の形をした石です。中江藤樹が、心に、迷いの心、悲しみの心、いかりの心が生じたときには、この石に水をかけて、その水の流れるさまを見ながら、自分の心を正していたというのです。
 大儒学者である中江藤樹でさえそうなのです。わたしたちが自分の生き方に迷い、悲しみ、いかりを覚えても、それは当然でしょう。
 しかし、中江藤樹は自分の心を正す方法を心得ていたのでした。そのことが、ずっと心にあり、わたしにも、何かできないかと考え続けました。
 そして、今年の四月から、週に一度、夜7:00から9:30まで、陶芸教室に通うことにしました。土を手で練り、形のあるものをこしらえていく。そのことによって、心の迷い、悲しみ、いかりは消えていくのではないか...。
 通い始めて、いろいろなことを教わることができました。また、土のもつ不思議な力を知ることもできました。心は、無条件で、おだやかになっていきます。
 写真のカップは、先週、作ったものです。その前の週に粘土で「ひも」をつくり、その「ひも」を巻き上げてカップの状態にしておきました。先週は、生乾きとなっているカップの外側をヘラでけずりました。こうしてできたカップは、もう一人前の顔をしています。まさに縄文式土器で、カップとしての使命も心得ているように感じます。やがて、素焼きをし、釉薬をかけ、さらに本焼きをすると、その顔は、一段と存在感を示すようになることでしょう。
 心にある、迷い、悲しみ、いかりは、制作の途中に、ふっと頭をもたげてきます。しかし、「いい形にしよう。」「ここはもっと美しく」と、よりよいカップを求める気持ちが、手を動かし続けます。その行動が、心を正しているようでした。

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