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渡邉達生の研究室便り

2009/08/20

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昨日の夕方、横浜駅への道をたどっていると、花屋さんの店先に秋を見ました。「窓」から出る光を浴びて輝く穂はまさに秋、神代植物公園のパンパグラスを思わせてくれました。立ち止まって見とれているうちに、いつの間にかあたりは暗くなっていました。一日の終わりです。家に向かって歩き出しました。

 人は、朝、家を出て、夜、家に帰ります。時には、朝にはなかった暗い思いを家に持ち帰ることにもなります。それは、子どもも同じです。憂うつな気持ちで家に帰って来る子どももいることでしょう。しかし、家の前に立ち、「窓」の明かりを目にすると、心は落ち着くはずです。そのとき、「ただいま」「お帰りなさい」という会話で生産されていく家族との生活に、いっそうの価値が出てくるのです。

 窓とは何でしょう。窓は壁に穴をあけたものです。当り前のことですが、ふと心を遊ばせてみると、面白いことに気づきます。「窓」という漢字には「心」という漢字が付いています。「窓」にはどうして、「心」がある...。

 古代中国の老子という人は、窓を「無用の用」という考え方を説明するために用いました。用とは「はたらき」という意味で、その意味をつかって「作用」という言葉もあります。ものには、はたらきのないはたらきがある...その例に窓がある...なんだなんだ、です。
 家を建てるとき壁をつくります。しかし、壁には穴をあけて窓にします。窓は壁を無しにするのです。そのことが、壁のはたらきをよくしていることになります。壁の中にうがたれた窓は、はたらきがないようにあって、大きなはたらきをしている...。
 そのことは「心」の在り方にもいえます。かたくなになって壁をめぐらせている心には、具体的な悩みを聞き、解決策を示してあげることが本人のためになるはたらきのようです。しかし、解決策がないから悩みなのです。そのようなとき、「お帰りなさい」の一言、そして手作りの夕食が、沈んだ心に風穴をあけることでしょう。その窓から明るさが入ります。窓は違う世界を呼び込むのです。 
 家に帰り着いてみると、焼きナス、タコのカルパッチョ、厚揚げの煮しめ...。心は別世界に入りました。そこには、外での憂うつなことも、水に流していく何かがありました。
 鴨長明いわく、「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。」...そうですね。水は絶えず流れていくのです。
 生きていると、日々、子どものこと、学校のこと、友達のこと、職場のこと、いろいろなことで悩みは湧いてきます。それはいつの間にか壁のようにもなるでしょう。しかし、そのような憂うつなことも、心に風穴をあけて「窓」を築くことで水に流れ、心は安定していくのではないでしょうか。だからかな、窓という漢字に「心」があるのは。...確かめるすべはありません。

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